修論を提出した足で、研究室の准教授の個展を見に行った。
美術館や展覧会は一人で回りたい。それか自分よりゆっくり回る人とが嬉しい。
待ち時間は好きだけど、待たせ時間が苦手で、特に展覧会ではぼーっとゆっくりしていたい。
作品を前にリアルタイムで感想を語り合うのも苦手なことに気付いた。
なにも考えていないからである。
あ、埃が飛んできたなとか、あ、これは泡かなとか、目の前で起こっていることをぼーっと眺めて、
この感じはなんだろうな…?という分からない感覚の中で、ぼんやりした感覚がちょっとずつ明瞭になっていくのをぷかぷか待っている感じで過ごしている。


この彫刻を眺めていて、家の骨みたいだなと思った。
家は生きていたのかな、とも思った。
片付けコンサルタントのこんまりさんの番組の中で、片付けをする前には必ず家に挨拶をするのだが、
座って、しばらく無言で目を閉じて家に挨拶をするそのシーンが思い浮かんだ。
挨拶の儀式を終えて、ある家の主人がこう言う。
「今までこの家に語りかけたことはないけど いいもんだね
”君はいい家でいてくれたよ(This has been a very good home for us.)”って」
一人が良いと言ったけど、同期6人でぶらぶら回るのも、電車に乗るのも楽しかった。