鑑賞と体勢

21_21という美術館でアルバイトをしたことがある。
作品を鑑賞する人々を見ていると、みんなほとんど同じ体勢で作品を見ていることに気付く。
手を後ろに組んで、ゆっくり足を若干地面に擦り移動しながら作品を見る。
これが芝生の上に座りながらとか、みんなが各々自由に変わった体勢で見たら見え方も変わるんだろうか。

主従関係が強い時代で、すべての人が平等ということを示すために茶室の入り口は低く(頭を下げなくてはならない)狭く(刀を外さなくては入れない)なっていたという。
2kmくらいルームランナーで走ってからじゃないと見れない作品とか、きっちり服を着込まないと寒すぎる展示室とか、いろいろとありそうだけどそれらは押し付けがましそうでもあり、でもみんなが同じ体勢で作品をしっぽり眺める感じもなんかしょっぱい。

学部3年の頃、暗闇の中をペンライトで照らしながら見進める展覧会を学祭で開いたことがある。
「皮膚」「スペキュラティブデザイン」をテーマにしていた。
拙く手探りな展示だったと思うし、それを言葉で大袈裟に飾ることもないと思う。
部屋を暗くしてみるっていうのも大それたアイデアではない。

でも、「自分で照明を照らす」「光の強さで作品との距離感が変わる」「照らした先を一緒に見る」
っていうのは面白かったし、多分明るい部屋だったらサラッと見て終わっていたかもしれないところを、
みんなあちこち探しながらゆっくり見てくれていたように思う。

今日の猫