成績を上げることよりも、子供が社会の中でも落伍してでも、横の関係でいたい。
名越康文『名越康文TV シークレットトークyoutube分室』
この人が横の関係を学んで、人と対等に話ができて、人を尊重しつつも自分のプライドを保つことができたら、
どこかでこの人は生きていけるであろうという信念がどこかに、こんなへなちょこな親にもあるんです。
(略)
横の関係で生きることがこの世界で生きていく力になると信じている。
それが本来の人間のあるべき関係性だと信じて疑わないんです。
「横の関係」「対等に話す」「人を尊重しつつも自分のプライドを保つ」とはなんだろう。
それらを聞いて私が思い浮かべることと、名越さんが思い浮かべていることは全然違うんだろうと思う。
以前友人が受講していたHintゼミの内容を思い出した。(資料がネットに公開されていることもあって、内容を教えてもらっていた)
「幸せ視点の経営学」を学ぶ場だという。

この講義は非常によくできていて、スライドで言うと150ページもあるのに読みやすい。
印象に残っているのは、その友人が参加したプログラムの4つ目の回で
「共感を育む対話の技術」というものだ。
何回も反芻し、実行する難しさを噛み締めながら、子供たちとものづくりをする教室のアルバイトで実践をしようとしていた。
特に印象に残っている内容の一部(人間関係の悩み)(150ページ中の10ページくらい)について備忘録的に書き出してみる。
人間関係の悩みに向き合うときに、コミュニケーションの前提として、
「相手の問題」と「自分の問題」を切り分けて考えることが大切になる、というところから始まる。
具体的には、
1.まず問題の「所有者」は誰かを考える
a.相手が問題を持つ
b.問題なし(誰も困っていない)
c.自分が問題を持つ
の場合でそれぞれ切り替える。
この際に(いや常に)「推論のはしご」をゆっくり登ることが必要になる。
そして相手が問題を持つ場合、以下を大切に会話をする。
a.1.「問題所有の原則」
問題を人から取り上げてはいけない。他者が問題解決すると、考える力や自尊心を奪ってしまう。問題は人生の宿題であり、解決策は所有者の心の中にある。
a.2.「能動的な傾聴」
自分の考えは横に置き、相手の経験していること、思考や感情に共感し「今どんな気持ちなのだろう」「何が不安なんだろう」と相手の内面に意識を向け、耳を傾け続ける。
a.3.「未来の質問」
自分のペースで問題を話すことで、相手の感情が整理されてきたら「一番大切なことはなんだろう?」「どのためにどうしたい?」と未来に向けた質問で、心の中にある解決策への気づきをうながす。
自分が問題を持つ場合、以下を大切に会話をする。
b.1.「わたしメッセージ」
相手の行動が嫌なとき「あなた」主語で責めてしまいがち。「なんでいつも〜なの」「もっと早く〜してよ」でも怒りは二次感情(不安、寂しさ、辛さ等が根底にある)こんな時には「わたし」のありのままの気持ちや思いを伝えよう。
b.2.「能動的な傾聴」
自分の気持ちを「私メッセージ」で伝えたあとは完全に気持ちを切り替えて、相手の思考や感情に共感する。「今どんな気持ちなのだろう」「何が不安なんだろう」と相手の内面に意識を向け、耳を傾け続ける。
b.3.「第三案の共創」
無理にどちらかの案を通すのではなく、相互に理解し合うこと。
①お互いの欲求や問題を理解し合う
②それを解決するための第三案をともに考える
相互理解には「自分メッセ」と「能動的な傾聴」が大切。
という内容だ。
いまだに親と子といえば「しつけ」、そして「しつけ」という響きから、縦の関係ばかり思い浮かんでしまっていた自分には、冒頭の名越さんの発言は新鮮な考え方だった。
そして名越さんは、子供相手にも一人の対等の人間として、上記のような対話をしていきたいんだろうな(こういう対話ができる人になってくれれば良いなと思っているんだろうな)と、息子さんとのエピソードを聞いて思った。
今日の猫
