アルバイト先では、子供たちの「未知にワクワクしながら、自分らしく自分の世界を広げていく力」をITの力を用いて育むことが根底の理念として存在する。
具体的に何をしているかというと、プログラミングという道具を使って自分の好きなものを作ったり、3Dプリンターやレーザーカッターなどのデジタルファブリケーションツールやレゴを用いてロボット等を作ったり、blenderやtinkerCADを使って自分の世界観を表現したりと、好きなように活動する子供達を私たちメンターがサポートしている。
私たちの役割は、知識を詰め込んであげることではなく、子供たちが「好きだなぁ、やりたいなぁ、やってみたいなぁ」と思ったことに何かしらの障害が立ちはだかったとき、自分でその障害を取り除く力を育むサポートをすることだ。
「自分で障害を取り除く力」とは、
1.「未知」や「挑戦すること」を面白がれる力
2.自己肯定感・自己効力感
3.課題を突破していくための知識・知識を手繰り寄せる検索力
のことだと個人的に考えている。
1について私が具体的に気を付けていることは
成果主義になりすぎないことである。
試行錯誤という過程が楽しいから何度でも挑戦できるし、その上でいつのまにか目標を達成している。というのが一つの理想なのかなと思っている。
「できること」「知っていること」に重きを置きすぎると、
「知らないことを知られたくない」「できないと思われたくない」「できなそうなことに挑戦したくない」「できたように見せかけよう」
という気持ちが湧いてきてしまう。
だから、「できたー!」と報告してくれたときに「やったー!」と一緒に喜ばしい気持ちになったことは正直に表に出すが、
それを直に褒めるのではなくて、「何をしてできたのか」という一層だけ深掘るようなワンクッションを入れ、そうやって挑戦したこと、やってみた過程の部分がすごいことを伝えるように気を付けている。
そしてそれと同じくらい重要なのが、保護者の方への毎授業最後のフィードバックの時間だと思っている。
保護者は大抵目に見える進捗や成果の部分にばかり目がいく。
子供たちが授業中にいくら「これだけ試行錯誤してこんなことがわかった!すごい!」という気持ちになっても、
一番近いお母さんやお父さんに「全然進んでないじゃん」と一蹴されたら気持ちはどん底に落ちる。
安くないお金を払っている身としては、「未知」や「挑戦すること」自体を面白がれる力というような測り辛い基準より、制作の進捗という目に見える物差しで判断したくなる気持ちもわかるし、実際制作の進捗は大切だ。
そんな保護者の方々に、「どんなことに挑戦したのか」「どんな風に試行錯誤していたのか」「このプログラムの何がすごいのか」というようなことを細かく噛み砕き、子供を褒めるサポートをする。
この噛み砕いて説明する力は教室で非常に重要視されているが、私はそれ以上に、授業内で実際に「ワクワクする試行錯誤の機会」を提供し、それが可視化されていることが重要だと考えている。
つまり、保護者へのフィードバックの時間を、「私たち、ちゃんとうまく関わりましたよ」という言い訳の時間になどしたくない。
これがわかんない!わー!ってなっちゃっている子がいたとして、
この子は視覚優位の傾向があるかもなという子や多動気味かなと思う子には、一緒に近くのホワイトボードの壁のところまで行き、一緒に絵を描きながら「作戦会議」をしたり、
聴覚優位の傾向があるかもなという子とは、対話をする中で考えてもらったり、言葉で考えるのが得意そうな子には、言葉を紙に書き出してもらって、それをプログラムのブロック化をしていったりする。
答えを教えるのではなく、考える道筋から一緒に辿っていくのは先述の「3」にも繋がる。
そして何より大事なのは、一緒に立ち向かう「仲間」がいることだと思う。
近くにいる友達に相談したり、逆に教えてあげたり、そういう関わり合いを子供同士ですることが「ワクワクする試行錯誤」に繋がると考えている。
そうした仕掛けをちりばめて、保護者の方々にはその過程も細かく説明をする。
…
このように日々私たちも答えのない問題について考え試行錯誤しながらお仕事をしているが、
最近特に考え続けていることがある。
a.コロナの影響でオンライン授業に移行したとき何が一番困ったかというと、こうした仕掛けの手札の大部分が封印されてしまったこと。オンラインで「ワクワクする試行錯誤」の機会を提供する方法について。
b.すでに「知らないことを知られたくない」「できないと思われたくない」「できなそうなことに挑戦したくない」「できたように見せかけよう」という気持ちが強くある子たちとどう関わるか。
bについて、親御さんはかなり焦っている。
「このままじゃ将来この子が楽な方ばかりに逃げる大人になるんじゃないかと不安で」と言う。
しかし「このままじゃロクな大人にならないよ。プログラムがんばりなさいよ。」と大雑把に言われても子供は困る。
おそらく重要なのは、今イキイキとやっている好きなことを存分にして良い居場所があることを伝えることと、
その子への提案を細分化して、「こうしてみようよ」とわかりやすく伝えることだと思う。
あと、一緒にがんばる仲間がいること。
aについては…難しいなぁ…。
オンラインってむしろいろんなことがダイレクトに伝わる感じがあるし、なんか緊張する。
オンライン授業でどう居場所感を感じてもらうか…。
いろいろ考えていると、
御膳立てしすぎか?という考えもよぎる。
「神秘的な森」と「美味しいお弁当」と「準備のために自分で自由に使える少しのお金」と「仲間」があれば、子供たちはいくらでもイキイキと準備し冒険していろんな発見をしてくるはずだ。
どうにかこの「神秘的な森」と「仲間」を作るという部分で自分に力できることがないか考えている。
今週の猫
ゴゴゴ…